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冒険者がとある人物から受け取った謎の鍵。 冒険者が鍵の開け先を探して美しき湖畔訪れると、 そこには"ある筈のない"「塔」が聳え立っていた。 |
| キャンペーン開始条件 | |
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| 条件 | ≪リスタル湖≫で冒険を行い、PTメンバー1名が《時計塔の鍵》を使用する。 |
❖チャプター1
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塔に足を踏み入れた冒険者。 その瞬間、大きな音が塔に鳴り響く。 先に待ち構える試練の始まりを告げるような、1時を告げる鐘の音。 「待っていたわ」 訪れた静寂の後、階段から一人の人影が現れる。 「……ようこそ、時を喰らう時計塔へ」 現れたのは、暗い雰囲気を持った黒衣の魔女。 「あなた達に頼みたい依頼があるの。 ……けれどその前に、あなた達の力を確かめさせてもらうわ」 魔女は小さく天井を指さす。 「この塔にはゴーレムとキマイラ、2体の守護者がいる。 その守護者のどちらかを倒してみせて頂戴。 あなたの実力が依頼に足るかどうか……それを見せてもらうわ」 魔女はそう言うと、手に持っている時計の針をカチリと回した。 ……―――――――― 塔に足を踏み入れた冒険者。 その瞬間、大きな音が塔に鳴り響く。 先に待ち構える試練の始まりを告げるような鐘の音。 |
| チャプター進行条件 | |
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| 条件 | <栄誉:時守り>を所持し≪時計塔≫で冒険を行う。 |
❖チャプター2
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カチリという時計針の音の後、大きな音が鳴り響く。 一つの時の終わりを告げるような、大きな鐘の音。 「……見事ね」 不意に、目の前の階段から声がする。 現れたのは、暗い雰囲気を持った黒衣の魔女。 「あなたの力は見せてもわったわ……。約束通り、依頼の話をしましょう」 「ここは立ち話できるような"時間"じゃないから……私の"時間"に招待するわ」 魔女はそう言うと、手に持っている時計の針をカチリと回した。 ……―――――――― 気が付けば冒険者は、見慣れない空間にいた。 先ほどまでの無機質な視界とはかけ離れた木造の部屋。 ソファやテーブルといった馴染み深い家具が置かれ、生活感を彩っている。 「……どうぞ、掛けて」 先ほど見た魔女は、冒険者を椅子へと促した。 冒険者は椅子に腰かけ、テーブル越しに魔女と向かい合う。 「改めて、自己紹介するわ。 私はノイア……この塔の管理人よ。 管理人といっても、今は罠も人形も、私の手でどうにかすることはできない。 ……あなたを危険な目に遭わせて、ごめんなさい」 魔女は頭を下げる。 どうやら時計塔の危険は、彼女の手によるものではないらしい。 「……それじゃ、依頼の話をさせて貰うわね」 そう言うと、魔女は懐から一枚の羊皮紙を取り出した。 冒険者ギルドが使っている、一般的な依頼状のようだ。 「……この塔には〈時喰らい〉が封じられている。"時の流れ"を貪る、強大な悪魔よ」 冒険者にとっては聞き慣れない言葉だと判断したのか、魔女は補足するように続ける。 「あらゆる存在・空間……万物にはそれぞれの時間が流れている。 時間の流れが周りと同期することで、その世界に存在することができる。 それを喰ってしまうのが、〈時喰らい〉という悪魔。 "時の流れ"を喰われた事象は、世界の時間から取り残され、"時の流れの忘れ物"となってしまう。 それは死よりも過酷な……永遠に訪れない一瞬の中に幽閉されるようなもの…… あなたも出会ったかしら?この塔に残った……"忘れ物"となった魔術師達と。 ……彼らは"時喰らい"によって、時の流れを喰われた人たちよ」 魔女は目を伏す。 「この塔は、人の過ちである〈時喰らい〉を封じるために作られた…… 塔の中に魔術による疑似的な時空を作り出して、その時空を〈時喰らい〉に喰わせ続けることで、外に出るのを防いでいたの。 本来は〈時喰らい〉を育てる程もない、ごくわずかな量の時空をね」 「けれど……人々は"時の流れ"を軽視していた。 いつしか、あまりに永い……世界が一つ終わり、始まってしまうほどの時間が作り出されていたわ。 微量といえど、膨大な時間を喰わせ続けた結果、〈時喰らい〉の成長が想定を超えてしまった。 この塔の制御装置である"杖"ごと〈時喰らい〉に喰われ、それ以降、この塔は暴走…… 成長した〈時喰らい〉は、塔どころか、この世界すら喰い尽くすことになりかねない。 そうなる前に、あの悪魔を止めなければいけない。 けど、時間が経つにつれて大きくなる〈時喰らい〉に、通常の方法では太刀打ちできない。 だから塔の魔術師達は〈時喰らい〉を止めるための武器を遺していた。 そして、あなたにはその武器を取ってきてほしい。それが今回の依頼よ」 魔女は冒険者の方へ依頼状を差し出した。 依頼状には剣の絵が描かれている。報酬は――25,000G。 「この武器は特殊な方法で封じられているわ。"時の流れ"が届かない場所……マイナスの時空に。 マイナスの時空に入るには、時の流れに抗う必要がある。 時間を止めて、少しずつ時の流れを遡るしかない。 ……だから、これをあなたに託すわ」 そう言うと魔女は一つのネジを取り出した。 ゼンマイを巻くための、小さなネジだ。 「これは大時計のネジ……これで大時計を回せば、一時的にこの塔の時の流れを止めることができる。 その間にあなたには時計塔のトラップや置き時計を利用して、【-12時】まで時を遡ってもらうわ。 〈時喰らい〉を倒すための武器は【-12時】に置いてある。それを取ってきて。 それに、マイナスの時空に入った場合、時間経過で外に出ることはできなくなる。 けれど【-12時】に辿り着けば、私があなたをこの時間に戻すことができる。 逆に、【-13時】より遡った場合……この時計塔から永遠に出られなくなることもあるから注意して。 報酬は……この王国の通貨で用意したわ。不足があるようならば言って頂戴」 そこまで言うと、魔女は小さく溜息を吐いた。 「……本来、塔も私も、この時代には存在しない……遥か過去、世界が出来る前のもの。 この時代の人々を巻き込んでしまって、申し訳なく思っているわ。 けど、あなたに頼む以外に方法はなかった…… ……お願い……できるかしら……?」
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| チャプター進行条件 | |
|---|---|
| 条件 | 選択肢分岐Ⅰで分岐AまたはBを選択する。 |
❖チャプター3
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"魔女の時間"から抜け、再び時計塔の時間に戻った冒険者。 無機質な空間の中、どこからか声が聞こえる―― 「あなたの動きは私が見ているわ。 剣が手に入ったら、すぐに今の時間へ戻って来られるようにするから」 魔女の指示の元、冒険者は「大時計」を探して時計塔の探索を再び再開した――
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| チャプター進行条件 | |
|---|---|
| 条件 | ≪時計塔≫で【-12時】で冒険を行う。 |
❖チャプター4
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魔女に導かれ、冒険者達は【-12時】の時空に辿り着いた。 全ての時の流れが止まった、無機質で、無色な空間。 そこには全ての物理法則を無視して、一振りの剣が浮いている。 刃は細く、実体も朧げだ。精霊の力も魔力も一切を感じない。 これが、〈時喰らい〉に対抗する武器――? 冒険者は、武器と呼ぶにはあまりに頼りなさげなそれを手に取った。 軽い。というよりも、一切の質量をもたない、虚像のような剣だ。 しかし、この世界の理から外れたような、そんな異様さを秘めている……。
……―――――――― カチリという時計針の音の後、大きな音が鳴り響く。 一つの時の終わりを告げるような、大きな鐘の音。 「……見事ね」 気が付けば冒険者は、別の時間にいた。 先ほどまでの無機質な視界とはかけ離れた木造の部屋……"魔女の時間"だ。 「その剣こそ"時喰らい"を止めることができる唯一の武器。 それがあれば……あの悪魔を止めることができる」 魔女が指したのは、冒険者の手にある異様の剣。 時空が流れている今でも、透けて見える刃の向こうは無色をしている。 「……ご苦労様。報酬を用意しないといけないわね」 魔女は戸棚から報酬の入った袋を取り出した。冒険者の報酬としては相当な大金だ。
「……ありがとう。これであなたへの依頼は完了よ」 魔女はそう言って時計を取り出した。 「あなたに依頼して良かった。 ……これで、私の役目を終えることができる…… 外まで送るわ。……もう、出会うことはないかもしれないわね」 魔女はそう言うと、手に持っている時計の針をカチリと回した。 ……―――――――― 気が付けば冒険者は、別の場所にいた。 美しき湖畔。背後には、幾度もの冒険を重ねた時計塔が聳え立っている。 冒険者が塔を見上げると、大きな音が鳴り響いた。 先に待ち構える試練の続きを告げるような鐘の音。 | ||||||||